道なき恋


妻がいるリビングには

いたくないので、

別の部屋で、

TVを見ていた。

「ねぇ……ごめんなさい…」

と言いながら

私のいる部屋の前で泣いていた。

私は知らん顔をしてTVを見ている。

「か…考え直して…くれない?

もう一度だけ…」

「…………………」

何も言わずにTVを

消して眠りについた。

翌朝

目が覚めると

妻が部屋の前で座り込んでいた。

多分一睡も出来なかったのだろうか…

目の下に隈があり、充血もしていた。

それでも私は知らん顔をして

洗面所に向かった。

戻って行くと

「ねぇ…子供達はどうするの?

子供達の為にも…

もう一度だ…け

考え直し…て」

バタン!

とドア閉めて

また布団の中に入った。

今までなら、

子供達の事を

優先に考えてやり直しを

決めてきたが

今回は違う。

妻の顔も子供達の顔も

頭で思い描かない

真剣に離婚を望んでいる。

璃子の事は関係ないとは

言い切れないが

それほどの理由ではない。

根本的な理由は

妻にも私に対して

不満はあるだろうが、

私は限界に達した。

いや、

限界を超えてしまった。

妻への不満である。