「…やっぱさ、ゆうちんは友達できやすいと思うよ。」
隼人が棒読みでそう言った。
恵も呆れたような顔をしている。
だが2人は、カバンを持ってドアまで行った。
裕太は去る友達に手を振っている。
「で、何?」
恵は裕太を軽くにらみながら言った。
恵は背が小さめなほうのため、見上げる形になる。
すると裕太は、まぶしいくらいの笑顔で口を開いた。
「それがな、来た転校生が───」
「あ、いたいた、裕太。ここは人が多いねぇ。」
澄んだ声だった。
のんびりしているのに、馬鹿みたいによく通る声だった。
恵と隼人は、思わず目を見開いていた。

