「そりゃぁ、花菜の一大事ですもの」
「一人娘の相手がどんな奴かこの目で確かめておかないとな」
「あれ?パパとママは相手が誰か知らないの?」
「創からは職場の人としか何も聞かされてないから、知らないのよ。ごめんなさいね」
「アイツなら、下で会長と奥様を待ってるから、もう少ししたら来るんじゃないか?」
「そうなの?楽しみだわ」
花菜の緊張をよそに、母は今か今かと心を踊らせていた。
すると、ドアをノックする音が聞こえた。
「失礼します。お待たせしてしまい、申し訳ありません」
「っ!大樹」
「おぉ!宗助。久しぶりだな。雨宮とは聞いていたが、まさかお前だとはな~」
「西條コーポレーションと聞いてはいたが、俺もまさかお前の会社だとは気付かなかった」
「何だ、親父たち知り合いだったのか?」
「高校の頃の悪友だ」
「へぇ~」
「大樹の息子なら何も問題はない。話を進めようじゃないか」
「いや、親父、まず自己紹介してやらないと、花菜が困ってるから」
「創くん…」
「さぁ、会長、奥様。こちらへお座り下さい」
そういうと、創は2人を席に案内した。

