sweet memory




『それから2年が過ぎたあの日、私の前に奏くんが久し振りに現れたの。留学先から戻ってきたその足で私に会いに来てくれたの。でも…私は思い出さなかった。ううん、またあんな思いをするのが嫌で思い出そうとしなかったの』




えっ…でも、私覚えてない。
それは何で?




『奏くんと再会して、封印していたはずの記憶が甦ろうとしていたの。けど…、また傷付きたくなくて何重にも頑丈に鍵をかけて奥底に隠したの』




だから、奏くんと再会したお見合いでも私は思い出さなかったんだね。




『うん。…私はお姉ちゃんの心の中でずっと隠れていたの。だけど、あの日…。久し振りに奏くんに会って、私が間違っていたことが分かったの。だって奏くんはちゃんと16才になる年に私の事を迎えに来てくれたんだもん。あんなに酷いことをしたのに、私の事を待っていてくれた』