『ここはね、お姉ちゃんの心の中なの。んー…鍵をかけて奥底に隠した私の記憶の部屋って言った方が正しいかな?お姉ちゃんはあまりにもショックが大きすぎることがあると、自己防衛反応で心に鍵をかけてしまうんだって。淳くんのお父さんが言ってたよ…』
自己防衛反応…。
あっ…もしかして…あの人との電話の事?
『うん。奏くんの事を忘れちゃうのは、また奏くんの事を傷付けちゃうから…それだけは避けたかったの。だって奏くん…凄く寂しそうな顔をしていたから…』
いつ?
『私が目を覚ましたとき…。あれ以来、奏くんも淳くんも私の前には現れなかった。そして私が奏くんの事を思い出さないまま、奏くんは留学してしまったの』
そんな…。

