「律。セールだってよ?」
「俺パス」
「はぁ!?」
「…今日は家の用事があるんだよ。だから今日はこれから早退しなきゃならない」
「へぇ~…。忙しいんだな」
「仕方ないさ。俺が継ぐと決めた以上、通らなきゃいけない道のりだからな」
律は苦笑いしながら空を見上げた。
いつもと違う律の様子が気になりつつも、隼大にはどう声を掛けたら良いのか分からず、何とも言えなかった。
「じゃぁ、俺帰るから」
「りっくん、帰っちゃうの?」
「あぁ…。これから茶会に呼ばれてるんだ」
「えっ、でも授業は?」
「早退。向こうの意向によって15時から始まるんだ」
「そうなんだ…。りっくん、頑張ってね」
「あぁ。じゃぁな」
そういうと律は屋上から出て行った。
何となく、律に元気がなかったのが気になった花菜であったが、その時はそれ以上問い詰めることはなく、そのままにしてしまった。

