私はギュッと美原のシャツの裾を

掴んだ。

「かっこいー!!」

お姉ちゃんはそういうと美原の腕に

手を回した。

「あの…ちょっと…」

「なぁに?いいじゃない!!別にー」

「お姉ちゃん……やめてよ…」

「もうっ!別に妹の彼氏取ったり

しないわよ〜」

違う。お姉ちゃんに美原を知られたく

なかったんじゃなくて、

美原にお姉ちゃんを知られたくなかった

んだ。

「じゃあね〜」

「うん…」

お姉ちゃんは家に帰った。

「………お姉さん、結婚してんだよな」

「え………」

私は少しうつむいた。

「うん…」

「…そ…だよな…」

ほら。だから嫌なの。

「……美原、お姉ちゃんのこと、

好きになったでしょ」

美原は一瞬ビックリしたようだったが、

そのあと、ふいっと目をそらして

言った。

「んなわけねーだろ」

私にはその言葉が嘘に聞こえた。