「……沙奈が笑ってくれたのは

告ったときだけだし、本音言って

くんねーし。絶対なにかなやんでんのに

相談してくんねーし。

……そんなんで付き合ってるって

言えんのかよ。

彼氏なのになんの役にも立たないって

毎日傷ついてたんだよ!」

気付いたら涙が頬を伝っていた。

………ずっと…………苦しいのは

私だけかと思ってた。

カズは自分のことしか考えてないって。

でも違ったんだね。

私が苦しいと感じていたときに、

カズも苦しいと感じていたんだね。

私は、カズを傷つけた。

自分勝手な理由で。

こんな私が、美原のこと好きになって

いいのだろうか。

カズを嫌いになる権利なんて

あるのだろうか。