恋なんてしなきゃ良かった

-----4年前-----

あのときはカズが好きだった。

大好きだった。

だからね、小5の秋にカズから告られた

ときは凄く嬉しかった。

でも、カズは嫉妬深くて私が男子と

話すのすら許してくれなかったよね。

でもそれも私のことが好きだからって

我慢してたの。

6年に上がって、美原と出会って

美原が気になり出したら

カズ、言ったよね。

「…なんか沙奈最近美原のことばっか

見てる」

カズが嫉妬してる、そう思った。

「そ、そう??私が好きなのは

カズだけだよ」

「……その言葉も嘘に聞こえる。

だって沙奈最近心から笑ってない。

俺じゃダメなの?美原にはあって

俺にはないのはなに?」

確かに私が心から笑ったのは、

カズに告られたときしかない。

「………カズが嫉妬深いから…」

「…それは!!沙奈が男子とばっか

話すから…」「話してない!!

話してないよ!私のことそんなに嫌い?

私のこと苦しめたいの?」

「ちがっ……」

「じゃあなんで束縛すんのよ!!」

私はこのとき凄くカズを傷つけた。

「……ゴメン……」

私達、ホントに不器用だった。

こんことでしか、好きって気持ちを

表現できなくて……。

「俺は沙奈が俺のこと好きなら

束縛したりしないよ…。原因は

沙奈にあんだよ!」

「え…」「だって、俺といるときより

他の男子といるときの方が

沙奈楽しそうだし、美原の方しか

見てなくて、俺のこと見てくれないし!

………苦しめてんのはそっちじゃん…」

私、カズが大好き。

大好きだからこそ諦めなきゃ

いけないものってあると思う。

カズは私と一緒に居ても苦しいだけ。

カズにはもっと似合う人がいるよ。

私はカズを幸せにできない。