恋なんてしなきゃ良かった

「じゃあ失礼する。石川君はまだ

ここにいなさい」

「はぁーい!」「………子供のような

返事はやめなさい」

「はい…」

ガラッ

出て行った。

「さっきの話しの続きしましょ?」

「あ、はい」「美原君だっけ?

彼女が居るのになんで毎日お見舞いに

来たの?」「….…友達だからです」

すごく残念だった。少しでも期待した

私がバカみたい…。

「……石川さんは好きな人いるの?」

またクスッと笑う。

「唐突ね…」

そう言って悲しそうな笑顔を浮かべた。

「私ね、婚約者が居たの……」

その言葉に少しドキリとする。

婚約者が……居たの……?

過去形….。

「婚約者って言ってもね、あの時はまだ

高校生だったの」

「え…」

高校生で過去形ってことは………

もう何年も恋してないんだ。

そう思った。