恋なんてしなきゃ良かった

ガラッ

「……失礼します」

「あら今日は男の子じゃないのね」

「……男の子?」

「そうよ。毎日来てる男の子」

「名前は?」「分からないわ」

「そうですか。…………私、沙奈に

酷いことしました…。ずっと後悔

してたんです。なんてあの時あんな

こと言っちゃったんだろうって……」

「……後悔しない人間なんていないの。

逆に言えば、後悔できるから人間なの。

後悔しているなら今から行動して

ありがとうっていわれることを

しなさい」

「………はい!」

この子も結局名乗らなかった。

そして………1年と6ヶ月がたったころ。

ちょうど3月の始め。

彼は来ていた。