ピッ……ピッ……

一つ音をたてて消えて行く。

そしてまた音をたてる。

夢を見ていた。

「み…は…ら…」

夢を見ながら寝言を言っていた。

「あら……意識はあるのね…。

可哀想に。まだ若いのに…」

夢の内容聞きたい?

聞いたら私のこと軽蔑しちゃう…。

それでもいい?分かった。

私は歩いていた。長い長い道を。

先は見えない。いつ終わるのかな?

不思議と疲れなかった。

「きちゃダメ……」

誰かがそう言った。

「なんで?せっかくここまで来たのに…

引き返せって言うの?」

「ダメなの……まだその時じゃない…」

「意味が分からない。あなたは

誰なの?」「私は………浅海…」

「え…?あ…さみ…?」

「そう。浅海…。とにかく引き返し

なさい……ここにきたってことは…

きっと……危ないんだわ…

早く戻らないと……」

「分かったわ。引き返す。でも私は今

怒ってるの…。なんで死んじゃった

お姉ちゃんの名前を使ってるの!?

やめて!!」

そう言って私は来た道を引き返した。

ここまでが私の記憶。夢は覚めてるのに

意識が戻らない。

「あら…また意識がなくなったわ…」

ガララッ!!

「はぁ…はぁ…沙奈は…沙奈は!?」

「落ち着いてください…」