「ホ……ホントに吸血鬼……?」


すっかり日が落ちて、薄暗い教室内であたし達は向かい合っていた。



「ごめん、血吸ったの初めてだったから痛かったよね?」


優しくあたしの首筋を撫でるその手に、あたしの肩はビクッと震えた。



「は……初めて?」


「うん。下手したら騒がれるから血なんて簡単に吸えないし、元々初めての吸血ってオレらくらいの年代なんだよ」


「ふ……ふ〜ん」



あたしは必死に笑顔を作っては見るが……。




ダ……ダメだ、笑えないよ。



だって、吸血鬼って漫画や小説やフィクションの世界だけのモノじゃないの!?



そ……それが、今現実に目の前で笑っているなんて……。






あたしの脳がそれ以上受け入れることを拒否して、あたしの世界がグラリと揺らいだ―――……。