テイスト・キッス。【短編】








――――――噛んだ。



チクリと痛みが走り、神藤くんの喉がコクリと鳴った。







―――え……?



何が起こったのか、わからなかった。



あたしの想像していたどれとも違って……。



やがて、神藤くんは離れ、再びあたしの唇が覆われた。



舌が侵入してきて広がる味はいわゆる”血”の味。


指を怪我して、自分で舐めた時と同じ味がした。







―――まさか、こんなこと本当にあるわけがない。




あたしの頭の中では、漫画や小説でよく見かける”吸血鬼”という言葉がぐるぐる回っていた。