その中でも一番強いのは、彼女―――柏木さんのものだった。



あまりの痛さにあたしは堪えられなくて、返事も返さずに来た道を戻っていた。





「おい、待てよ」


しかし、廊下に出てすぐに、あたしは呆気なく神藤くんに捕まってしまった。



左肩を押さえられ、クルリと体を反転させられ、神藤くんと向かい合わせになっていた。



チラリと神藤くんを仰ぎ見ると、その瞳がギラギラと燃えていて、あたしは咄嗟に視線を反らした。


―――なんだか、怖い。




「で、なんで先に帰ったの?」


神藤くんは教室での言葉を繰り返した。



―――なんだか、ズルイ。


元々先に教室からいなくなったのは神藤くんなのに。


まるで、あたしは神藤くんが戻るまで教室で待ってて当たり前みたいだ。