サラサラの薄茶色の髪。 伏せられた長い睫毛。 そして、薄く閉じられた唇。 それを見た瞬間、あたしは「触れたい」と思った。 思うだけではなく、無意識に実行までしていた……らしい。 自分の長く二つに括った髪の毛が、彼の頬をくすぐる。 そんな簡単なことにも気付けないほど夢中になっていた。 気付いたのは、漏れ聞こえた小さな声。 「……ん」 あたしは一気に現実に引き戻され、慌てて離れようとした。 ……が。 離れられない。