注目が集まっていることに
気づいた私は助けを呼ぶべく


「誰かぁー!たすけ…んっ!?」


叫ぼうとすると
尽に手で口を塞がれた。


「おい!お前ふざけるのも
 いい加減にしろよ!?」


通行人はそんな私たちを見て
ヒソヒソと喋り出す。


あぁ。大人ってやっぱり腐ってる。

私が誘拐されそうになっても
助ける人なんていない。

好奇の目を向け、
この状況を楽しんでる。

こんな奴らに助けを求めた
私がバカだったわ。



もう、いいや。
私なんてなんの価値もないもの。

この男に売り払われようが、
なにされようが、
それが私の運命ってこと。

私の人生なんてそんなもん。