そんな自分の思わぬ気持ちに
自分自身が驚いていた。

どうしてしまったんだろう…



「…い。おい!!」

「…ほぇ?」


…。

考え事をしていて
急に話しかけられたから
変な声が出てしまった…。


「ぷっ…。」


笑われた…。
恥ずかしい…。
しかも、さっきの黒髪の男だ。
最悪…。


絶対に顔が赤い…。
そんな顔を見られたくなくて
私はうつむいて顔を隠した。


だが、男がなにも話してこないので
不思議に思い、
チラッと少しだけ視線を上げ
男を見た。


…。
まだ笑ってるし…。
どうやら男は私の返事が
ツボだったらしく
いまだに肩を震わせている。


先程までは
笑われたことが恥ずかしかったが
ここまで笑われると
もぅ、諦めるしかない。



男の笑いは一向に
治まる気配がないので、
私は思いきって話しかけてみた。


「あのぉー…。」