私は恥ずかしくなり、
思わず俯いてしまった。



絶対顔赤いだろうな…。
そう思い、
額に両手をあてた。



「どうした?気分でも悪いのか?」



私の行動をどう捉えたのか、
気分が悪くて俯いた。と
思っているようだ。



「シート倒してもいいぞ?」



なんで、そんなこと言うんだろ…。
私なんかに優しくしたって
何の意味もないのに…。



信号が青に変わり、
車が音をたてて走り出す。



そして、尽は前に向き直した。



大人たちは、
富のある私に優しく接してくれた。

でも、今は違う。

居場所を失った私に
優しく接してくれる人なんていない。