そう思い、
私は尽の手を口から払いのけ
車に乗り込んだ。
そんな私を見て尽は驚きつつも
運転席に座った。
車の中は
甘く、けれどもキツくなく
ほどよい香りに包まれていた。
私は黙って前を見ていたが
赤信号になり車が止まり
つい、隣が気になってしまい
横から盗み見した。
その顔はとても真剣で
不覚にも、見惚れてしまった。
よく見ると、
綺麗な顔立ちをしている。
パーツが完璧で
絵に描いたようなイケメンだった。
整えられた黒髪も
スーツ姿に合っていて、
まじまじと見ていると、
私の視線に気づいた
尽がこちらに視線を向け
二人の視線が重なり
目が合う。
ドキッ
その瞬間、
私の心臓が高鳴った。
