二度と忘れはしない。あいつとの出会いは。あれは、私がこの桜ノ宮第一高校に初めて訪れた時の話。
桜があんまり綺麗だったから、私はついつい入学式前日に忍び込んでしまった。
校門を抜け、高校の裏手に回ると、そこには満開の桜たちが並んでいる。
「きれい・・・」
つい、そう口からもれた。
本当に、見事に咲き誇る花たち。
ああ、来て良かった。
本気でそう思った。
その時は。
「これから、よろしく・・・ね。
明日から、ここの生徒なの」
にこ、と小さく微笑むと、突然背後から声がかけられた。
「何をしている」
「あ・・・
別に。桜があまりにも綺麗だから。」
声をかけて来たのは、短い金色の髪をサラッとなびかせた、まるで絵本から飛び出して来た王子様。
スラリとした長身の、細身の美形の男。
そいつはにやりと意地悪く笑うと、私の顎を取った。
「・・・ふむ、」
「なんですか?うっとうしい。離せ」
女の子のセリフじゃない?
自覚はある。でも、こう言うスカしたやつは大嫌いなのよ。
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