「龍!」
「おぉ‥‥」
「なんか今日元気ないねぇ‥
元気だそっ!」
「・・・。」
「龍?」
顔を覗き込むと龍は
ふいっと顔を横に向けた。
「怒ってるの?
なんで?」
「お前に俺の気持ちが分からないだろ!
出て行ってくれ‥‥」
「なんでいきなり‥‥
どうして?
どうしてそんな事いうの?」
「俺はもうすぐ死ぬんだ‥
お前に会うと
なんか‥‥
悲しくなる‥‥」
「どうして?」
「お前こういう病気なったことないだろ??
お前に俺の気持ちは分からないんだ!!
お願いだから出て行ってくれよ‥‥」
「わかるよ。
龍の気持ち。
わかるよ」
「なんで?」
「私ねー
小さい頃、小児癌だったの。
見つかった時は中期で。
それで私は親に捨てられたの。
とっても苦しくて、
抗がん剤の副作用が
酷くて、死にたいくらいだったの。
あ、
そうだ、
写真持ってきたよ。
みる?」
「う‥うん」
「ほら、これ。これは薬の副作用で髪が抜けて可愛いバンダナを使った時の写真だよー。
後ろに写ってる人?
うーん‥
誰だろう
親かな?
親の顔が分からないや!!
あははははははは!!
やだー。
わたしってばー
記憶力ないわー!!
あはははははは!!」
「るるか‥‥」
「あはは‥‥」
涙が溢れてきた。
私が捨てられた日のことを
思い出したから。
