藍よりも深く

「いらっしゃいませ、中西様。」

入ってきた常連のお客様に声をかける。

『あ!こんにちは、まことさん。今日まことさん出勤だったのね?よかったわ。』

中西様は、私のお母さんくらいの年代のお客様で、よくご来店してくださる大切な常連様だ。
新商品が入荷したら連絡してほしい、と言われていて、月に何回かお電話をしている。そして数ヶ月に一度、オーダーメイドでペンダントやリングなどをつくっていただいていて、私を娘のようにかわいがってくれている。

「中西様、お久しぶりです。あ、そのペンダント、つけてくださってるんですね♪」

『ええ、まことさんが初めて受けたオーダーメイドなんでしょう?私もなんだかうれしくって、ほかのアクセサリーより、つい身につけたくなっちゃうのよ♪』

中西様は私が喜ぶことをいつも言ってくれる。

「いつも、ありがとうございます。先日お電話でお伝えしたシルバーのリングを見にきてくださったんですか?」

『ええ、そうよ。まことさんが私好みって言うアクセサリーは、絶対にはずれないのよね。今日も楽しみにしてきたのよ。』

「ふふ、任せてください。中西様のツボはばっちり押さえてあります!こちらのテーブルでお待ちくださいね。」

お店の中にいくつかあるテーブルセットの中で、中西様お気に入りのガラスのテーブルに案内し、私は店内にいくつかある新作を集めた。