藍よりも深く


『おい、高橋。俺はもう帰るが、高橋はまだ残るのか?』

裕子さんから仕上がった商品を受け取った笠原様が隣のテーブルから声をかけてきた。

『いや、俺も一通りの説明は聞いたし、細かいことはまた後日相談しに来ることにするよ。』

直人が席を立ちながら言ったので、私も立ち上がる。


「そうしましたら高橋様、私の名刺でございます。メールアドレスと専用の電話番号、予約用のURLも書いてありますで、なにかありましたらお気軽にご連絡くださいませ。」

そう言って、まことは淡いサーモンピンクの名刺を渡した。

『ありがとうございます。また後日伺います』

言いながら直人は店のドアの方へ歩き、まことも見送るために続いた。

「それでは、またお待ちしております。ありがとうございました。」
ドアの外でまことは頭を下げながらな音を見送った。