★大輝side★


ったくあの女・・・。ぶつかったくらいでうるせぇな。

「ほら!早く座れ!」

うっせーなジジイ。座りゃいーんだろ。

そう思いながら足を自分の席に進めようとしたら・・・

「きゃっ」

後ろから小さな悲鳴。

思わず振り
かえると、さっきの女がひっくり返りそうになっている。

「?!」

ガシッ

俺はとっさに腕を掴んだ。
そのままグイッと腕をひいて立たせてやる。

「おい、大丈夫か?」

そう声をかけると、

「あービックリしたぁ!ごめんありがと!」

それだけ言ってスタスタ行っちまった。
なんだあいつ。

・・・ん?

あいつの歩く姿をみて、
俺はあることに気づいた。

あいつ、足を引きずりながら歩いてる・・・。

もしかして、さっきひっくり返りそうになっていたのは・・・。

俺がぶつかったときに・・・?




これが俺とあいつの出会いだった。