「君はどうしたいの?」
『仲直りしたい。』
「なら決まっているじゃないか。それに然るべき行動をすればいい」
『分かった。明日謝る。』
「うん、頑張れ」
やっぱり彼女はあの時、自分の意志で僕に謝ってきたのだ。その事が知れただけで胸の奥が暖かくなる。
『でも、もし仲直りできなかったら、泣き言聞いてもらうから。』
「ああ、それぐらいお安い御用だ」
彼女の泣き言か、聞いてみたいものだが僕と彼女が仲直り出来ないなんてことは絶対にあり得ないことなので、それは不可能だなと思う。
『じゃぁ、明日に備えてそろそろ寝る。お休み、ありがとう。』
「おやすみ」
彼女の声ではなくツーツーと音が聞こえてきて電話が切れたのが分かる。
この電話は何故、毎日決まった時間にかかってくるのだろうか。いつまで続くのだろうか。疑問は沢山ある。画面は相変わらず真っ黒で始め電話のときから何も変わらない。ん?
「残り5」
僕が前見たのは7ではなかったか?
携帯に依存している訳ではないので一々覚えてはいないがなんなのだろう、この違和感は。
もしや、あと彼女と会話できる回数か?彼女と、電話できなくなるまでの機嫌か_
まさかと思い、携帯を枕元に戻して布団に寝転がる。
どうか僕の一人よがりであってくれと願う。
そして、ゆっくり目蓋を閉じた。
『誠ちゃん』
『なんだ』
『あのさ』
『・・・』
『昨日は、ごめん』
『...別に。謝るようなことじゃないだろ』
いつだって僕はひねくれていて。
『僕の方こそ、ごめん。』
驚いたように顔を上げた彼女が微笑んだ。
『誠ちゃん?』
『何も言ってない』
彼女は嬉しそうに笑った。
(本当は彼女を嫌いなんかじゃない。なる筈がない。)
(寧ろ好きだ。ただ、「薫が可哀そうだから止めて」と庇ったのが癪に障った。)