「チッ」


暗闇の中で一人立つ俺の下で眠る男たちの腹を蹴る

が、反応はせずに横に転がった


意識はもうない




「折角なんだからよー、もっと楽しませてくれよな」



弱い癖に調子乗るんじゃねぇ


楽しむことすら出来ねえじゃねぇか



この男たちが持っていた、ナイフを手で弄ぶ


本当物騒なモン持ってやがるな表の人間は

まあ、裏の人間に比べれば全然だが



表の人間は何も知らない

知らなさすぎる


その癖に粋がってナイフなどを簡単に使う

これがどれだけ危ないかも知らないで



このナイフ1つで人を殺せる

そのことは知っているかも知れないが


ただ、このナイフ1つで簡単に、人を殺せるとは思っていないだろう



ちょっと傷付けるだけ、その程度

でも使い方を変えれば一瞬で殺せるんだ



知らないのは表の人間だからこそ



表の人間は甘すぎる

甘すぎるからこそ何も知らない


表の奴らは裏に入りたがる
いいことなんて、1つもないのにな


折角表で生まれて来たのに、自分で苦しい道を進んでいく




「…馬鹿な奴ら」



選択肢がある、それがどれだけ幸せかも知らないで