初めての恋に、あたしは浮かれていて気付かなかった。 ふだんは五十嵐と呼ぶ山口先生が、この時、翔太、と下の名前で呼んだこと。 そしてなにより、あたしにイガラシをよろしく、と言ったこと。 何も、気付いていなかった。