ホームルームが始まったけど、イガラシはまだ来ていない。 「五十嵐は、まだ来てないかあ?」 山口先生がいつもの口調で言う。 「く…来る。…と、思います」 思わず、大きな声で言った時だった。 ガラっと教室のドアが開いて、眠そうなイガラシが入ってくる。 「セーフ」 「アウトだろ、五十嵐」 山口先生と冗談のようなやりとりを交わして席に着いた。 「おはよ、いいんちょー」 今日はイガラシの方から挨拶してくれた。