「――赤ちゃん、――嘘だったんだって」 「え?」 「本当は妊娠してなかったらしいの、相手の人。彼も知らなかったらしくて。騙されたことに傷ついているみたいなの」 「って、会ったの? 元旦那に?」 「うん。一昨日電話があって」 「なんだよ、それ」 思わず、口から出てしまった。 今さらなんだよ。 妊娠が嘘だったからって、何で綾に連絡できるんだ?! 「わたしは――」 振り返って一度言いかけて、下唇を噛みながら言葉を飲み込み、そして意を決したかのように顔をあげ、綾はゆっくりと話し出した。