「……帰ろうか、大輔さん」 力なく上野が呟いた。 大輔さんは上野の腕を掴んだまま歩き出したが、ふと足を止めて振り返った。 「こないだ、静が言ったことだけれど」 なんのことかすぐには思い付かず、俺は眉をひそめた。 「片想いの辛さはわたしがいちばんよく知っているから、大輔さんがわたしの気持ちを知った上でもわたしと居たいならって言ったんだよ、百合は」 上野が顔を上げて大輔さんを見る。 「――そう言ってくれたんだよ」 そしてまた歩き出した二人の姿を綾も俺も言葉なく見送った。