「もう九時過ぎてる。綾は何が食べたい?」
「恭が良く行くところで」
「良く行くところ? う~ん、ラーメン屋とかファミレスしかない」
綾が笑った。
その笑顔に少し安心した。
「よく考えてみたら、デートとかって言うの、わかってないんだよね」
「そうなの?」
「うん。そういうの飛び越して大人になってしまった」
「大丈夫だよ。恭はこれからだもん。ラーメンがいいな」
少しだけ綾は自分の言葉に淋しげに微笑んだような気がした。
心に何かが刺さったような感じを俺は認めたくなかった。
気のせいだ、きっと。
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