俺は綾の手を引っ張るように自分のほうへ引き寄せた。 「これ、綾に見せたかったバンド。アッシュだよ」 告げる俺の声に被さるように上野が言葉を発した。 「あの日、河原さんが来る前まで恭と一緒でした」 「あ――」 綾が俺の顔を見る。 大輔さんが上野を強引にもとの場所へ引っ張る。 「百合、終わってからにしろよ」 仕方なさそうに上野はステージのほうに顔を向けた。 綾は上野の後ろ姿を見ながら何か呟いた。