「あれ? お前なんで居んの?」

「彼女の希望でここ観に来たんだ」


康則さんにはすっかり気を許している俺はそう言いながら綾に康則さんを紹介しようとした。

その時だった。

康則さんの右側から静さんと大輔さんが振り返って俺を見ていた。

そして大輔さんの横にもう一人、見覚えのある顔が俺に視線を向けると俺の名を呼んだ。


「高坂君? すごい!ここで会えるなんて!!」


上野だ――。

大輔さんたちの後ろをすり抜け、上野が俺の目の前にやってきた。

俺は、康則さんの顔を見て、目で問いかける。

(何でこのメンバーでこの場所に?)

康則さんはまずいなぁと言わんばかりに自分の顎を何回も掴んでいる。

俺は静さんと大輔さんに向かい軽く頭を下げる。

瞬間会場内の音が高くなり、声と拍手の波に言葉がかき消されてしまい、それが止んでからもう一度静さんに頭を下げた。