「それで、大輔さんはいいんすか?」


大輔さんがうな垂れる。

そして小さく頷く。

「俺のことはもういい。気にするな」と。

痛かった。

目に映る大輔さんも、耳に届くその言葉も、俺には痛かった。


「優しくなんてなれないです。きっとまた、俺は傷付ける」


大輔さんが顔を上げて俺の目を見る。


「また? 傷つける?」

「だから、大輔さんが守ってやればいい。俺は自分の想いだけで、手がいっぱいだから」

「恭司、お前……」


大輔さんの鼻先で俺は玄関のドアを閉め、出て行った。