「静、黙っててくれよ。恭司には言うなよ」


大輔さんが静さんを睨むように言う。


「大丈夫よ。当の本人は他の女に夢中なんだし」


(えっ?)という表情を見せた後、大輔さんは俺の顔を見た。


「百合と付き合うんじゃないのか?」


それには俺が(えっ?)となった。


「付き合うも何も、今日初めて話したようなもんだし。大輔さん、上野のこと?」


いくら察しが悪い俺だって、この展開からはなんとなくわかるような気がする。

大輔さんは上野を知っていて、上野に気があるってことだよな。


「受け入れてくれたからって言ってたぞ?」

「ええっ? ちょっと待って。何を?」

「気持ち」

「あー、いや俺は、受け入れるも何も、余裕ないっすよ。今」

「あぁ?」

「だーかーらぁ」


大きくため息を吐いて静さんが俺たちを見た。