「ただ、そんな離婚の仕方をした彼女が、恭くんのこと、どこまで信じきれるかが問題よね。言葉も態度も、たとえ誓いだって、時と共に変わってしまうものなんだって、実感している頃だと思うし。そして、恭くんは若過ぎるしね」

「おい、恭をあんまり悩ませるなよ」

「その人が恭くんのこと、本当に大事に想っているならなおさらね、遠のいていく可能性があるってことを知っておいたほうがいいと思うから言ってるのよ」

「大事に想ってても、遠のくんですか?」

「そうよ」


静さんの瞳に言葉の深さが映っているようで、俺は息を飲んだ。

携帯電話が着信音を響かせる。

俺の携帯電話の音だ。

画面には『ウエノ』の名が表示されている。

電話には出ず、何もなかったことのように俺は携帯電話を置いた。


「出なくていいの?」


静香さんが気にしている。