カーステレオからはハード&ローズ、空は快晴、助手席には綾がいる。
緑の中、真っ直ぐに進んだ後、高いほうを目指してくねっている道もいい感じだ。
俺にとっては最高のドライブだ。
綾にそっと視線を向けると、頬にかかる髪を掻きあげる仕草が、そこから見える横顔が、憂いを感じさせながらも色っぽくて、俺は必要以上にドキドキしてしまっていた。
離婚のこと、どういうことなんだろう。
旦那とはうまくいっている風だったのに、いつ別れたんだろうか――。
俺から聞くよりも、綾が話し出してくれるのを待ったほうがいいよな――。
そう思いながらも、早く知りたくて落ち着かない。
そんな俺の胸のうちを察したのか、綾は息を吐くような苦笑いをひとつ零し、話し出した。
「3ヶ月前にわたしが家を出ていたとき、あったでしょ。恭と東京で会えた頃のこと。戻ってきたわたしを旦那は責めなかったの。ほんとうはその時に気付いても良さそうなものだけれど、わたしは鈍感なんだなぁ、わかったのはつい先週だったの。だからほんとうに驚いたけれど、でもね、ハンを押すことにためらいはなかったよ。離婚届にね」
少しの間が空く。そしてまた、綾は語りだす。

