「なんか、ごめんな」 上野が首を横に振り、シートベルトを締める。 車を出して、黒磯駅に向かって走る。 上野は左横に流れる風景を黙って見ている。 きっと傷付けた。 もっと、他に方法があったかもしれないのに。 助手席に乗せたのは、自分の意思だったのに。 「今日じゃなかったら良かったのに」 上野が呟いた。 「えっ?」 「違う日に、高坂君に偶然会えたところから、やり直せたらいいのにな」 泣き笑いする上野の姿がイタイ。 『高坂君』に戻った俺は何も言えないまま、車を走らせる。