《恭?なにかあった? 

 都合悪くなったなら無理しなくてもいいよ。
 
 駅には向かっているけれど、まだ電車には乗ってないから
 OKかどうかだけでも、メールください。
 
 OKなら、電車に乗るから、ね 》



すぐに返信する。



《OKだよ。待ってる。

 返信遅れてゴメン。

 待ってるよ 》



無事に返信を送れてほっとした俺はまたシートにもたれ掛かる。

ほんとうに来てくれるんだ、綾が……。

俺のいるところまで……。

そう思うと、気持ちが高揚する。

ふと、助手席に目をやる。

俺が吸い付いた首筋に左手を当てたまま、目から大粒の涙を零しながら俺を見ている上野がすぐ横にいた。