改札を通っていくスーツ姿の男たちの背中を眺めながら、ぼんやりと思う。 この人たちもどこかの誰かを想いながら日々を過ごしているのかもしれない、と。 それは熱かったり、少し冷めていたり、根強いものだったり、儚いものだったり。 それぞれの温度と形があるのだろう。 その相手と一緒に居ることが出来ているのはこの中の何人ぐらいなんだろうか――。