立ち上がって、髪をかきあげて、ひとつ溜め息を吐いて、綾を見る。 俺を見上げる綾の瞳は優しげで澄んでいる。 曇らせるわけにはいかないことぐらい俺にだってわかる。 「そろそろ出勤準備しなくちゃな。俺、もう行くね」 「結局、朝まで付き合ってもらっちゃったね」 綾は申し訳なさそうに肩を竦める。 その台詞はくすぐったくも、切なくも心の弦に触れてくる。 「また、いつか絶対――、会おうね」 不覚にも目に熱いものが込み上げてきて、そう言うのが精一杯だった。