俺は絵をただ見つめていた。
灰色と水色。
水色――。
どういう意味で捉えていいのか、いまいちわからない。
「わたしはこの部分を失くしたくないの」
綾が水色で染められた部分を指差す。
「僻んだり、羨んだり――、そういうグレーな部分を捨て去って、自分に自信が持てるようになりたいって思うようになれた。恭のおかげよ。だから、自信が持てるようになるまではひとりでいなきゃ」
水色を撫でながら綾が言った。
俺は穏やかな口調の中にも、綾の強い意志を感じて、言葉が出なかった。
絵の綾の体はほとんど灰色が占めている。
それは綾の心に俺には測り知れない渦巻いた思いと傷跡があることを示しているのだろうか。

