「最近ね、いつも持ち歩いてるんだ」


軽く首を傾げて微笑みながら、真っ白なページを開き、そこに灰色の色鉛筆で一人の女性のシルエットを描きだした。

俺は左隣に座り、綾の描くものをじっと見ていた。


「これね、わたし」


言いながら、女性のつま先から上に向かって灰色で染めていく。

綾は描いた女性のウェストの高さまで染めると、手にしてた色鉛筆を置き、水色の色鉛筆を手にした。

そして、眼の位置から頭のてっぺんに向かう線と、耳の位置から胸のほうに向かう線を描き、俺を見る。


「この水色が恭が変えてくれた部分」


胸の中心に水色の円を描きその色で染める。

同様に頭の真ん中の辺りにも円を描き、染める。

残った身体の部分をまた、灰色で染めて綾はその絵を俺に差し出した。