「最近、腐れ縁の幼馴染的存在になっていければいいなぁって思うようになったの。未練があるように思われてしまうかもしれないけれど、そういうのとは別な――、他人には成りきれない存在なのかな」


俺はどんな言葉を口にすればいいかわからなかった。

綾の言うことがわかるようで、理解出来ないのだ。

どうしてもはっきりと訊きたい。

男がこんなことを口にするのってどうかとも思うけれど、格好付けられる立場でもないし、余裕もない。


「俺は? 俺のことは?」


綾は真っ直ぐに俺の眼を見た後、立ち上がり、クローゼットの中からバッグを出し、B5サイズのノートと色鉛筆が入ったケースを取り出した。