帰る時に、玄関ホールで田口佑に会った。 「楽しんで来いよ」 「あ…ありがとう」 田口佑は、肩まで伸びた茶髪をキラキラさせながら言った。 人が多くて、距離が近くなる。 改めて見ると、整った顔立ちだ。 切れ長の目に、高い鼻。 薄い唇に、少し焼けた肌。 そんな顔が近くにあったら、誰だって緊張する。 「じゃあな」 軽く手をあげて去ってゆく。 いつもと違う夏が始まる…