見ると左の薬指には、ダイヤモンドの乗っかった神々しい指輪がはまっていた。


 「き、響ちゃん!?」


 眠気も吹っ飛んで、ベッドから飛び起きて横に座る響ちゃんを見た。


 「ん?」

 「こ、こ、こっ」

 「ぷっ、鳥かよ」

 「こ、これっ、これっ」

 「プレゼント」

 「な、なんで!?」



 響ちゃんはニコニコして、私の左手を握って見つめる。


 「なんでって、男から贈るものだろ?」

 「えー!?」

 「好きだ。結婚しよう……菜摘」


 ポロっ。


 私は瞳から静かに涙が零れた。


 嬉しくてこんなに想ってくれてる響ちゃんの気持ちが嬉しくて涙が出た。


 「うっ、ふぅっ……いい、の? わ、たし、で」

 「ばーか。お前がいいんだよ俺は。菜摘じゃないと駄目なの」

 「ふえぇ」

 「7月9日。今日の菜摘の誕生日に合わせて贈りたかったんだ。ごめんな。ずっと寂しい思いさせて」

 「全然だよぉぉ」

 「ほんと泣き虫だなお前。7月9日は泣く日の間違いか?」

 「だって、だって」


 私はぐすぐす泣きながら、響ちゃんの手を握りしめていた。


 「で、返事は?」

 「え?」

 「結婚、してくれないのか?」


 返事の遅い私に、少し淋しそうなすねた顔で私を覗き見てくる。


 「す、するよぉっ! するに決まってるよ!」

 「どうして?」


 ニヤニヤ笑いながらそう尋ねる響ちゃんに、私はガバッと抱きついて叫んだ。