天使の歌声


周りの客や店員から視線が一気に注がれる。

「翔太っ、声大きいっ!!」

「ごめん。でもアイスが初めてって…。」

「今までレストランで食べる
アイスしか食べた事無いし、
いつも学校と家を車で往復するだけだったから
コンビニに入ったのは今日が初めてよ。」

「そうなんだ…。
天音って本当にお嬢様だったんだね。」

「小さい頃、何度か街へ行こうとしたけど
よく捕まったわ。」

「天音らしいね。じゃあ俺が選んでいい?」

「えっ、うん。」

翔太は迷う事無くケースから
アイスを2つ取ってレジへ向かった。

客はそんなに並んでいなかった為
精算するのに時間はかからなかった。

「はいっ!」

コンビニの外でアイスを受け取った。

「ありがとう。あ、お金…。」

「いいよ。俺が勝手に連れてきたんだし。
それに今日は記念日だからね。」

「記念日?」

「初めてコンビニのアイスを食べた記念日。」

「あははっ!ありがとう、翔太!!」

「ほら、早く食べないとアイス溶けるよ。」

翔太に言われて慌ててアイスの袋を開けた。

木の棒に長方形の形をした
水色のアイスが刺さっていた。