「お母さん、今日見ないけど仕事?」
しんみりとした空気になったから
話題を変えた。
でも、変える話題を間違えた。
「母さんは…俺が6歳の時に
交通事故で死んだよ。」
「え…。」
じゃあ…翔太は…1人なの…?
翔太の少し苦しそうな表情を見て
さっき抱き締められた時に
見せた涙を思い出した。
「翔太…あのっ…。」
「ん?」
ガチャッ
「翔太、飯作ったから食べろ。」
「あっ玉子粥だ。すりおろし林檎もある!」
「天音ちゃんが手伝ってくれたんだ。」
「そうなんだ。ありがとう天音!!」
「あ…うん。」
翔太の笑顔を見るとそれ以上聞けなかった。
あの…涙の理由を…。