天使の歌声


「どうかしたの?」

後ろから男の人の声が聞こえた。

「あっ、えっと…。」

振り向いた瞬間、
天音は固まってしまった。

「あ……。」

「あれ?君は……。」

目の前に居たのは…

会いたかったあの人だった。


「何してるの?木を見上げて。」

「あの…ハンカチが…。」

「ハンカチ?」

彼は木を見上げた。

「あぁ、見事に引っ掛かっているね。」

「はい…。」

「ちょっと持ってて。」

「えっ!?」

彼はギターケースを天音に渡して
スルスルと木を登り始めた。

そしてハンカチを取って
ピョンと木から降りた。

「はいっ取れたよ!」

「あっ…。」

ハンカチが戻ってきたのは嬉しいが…

彼に返すはずのハンカチが
まさか彼に取ってもらうとは…